香港の歩き方(後編) - 役に立つ徒然日記

最近急に昔話を書き出した「役に立つ徒然日記」! もはや役に立つかは不明です。しかし、英検1級合格してからTOIECの話の話も書き始めましたのでそれは役に立つかも。結構真面目に書いてます。

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香港の歩き方(後編)

この話の前編を読みたいかたはクリック!

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さて、買い物を済ませた頃には、いつの間にか日が暮れて対岸の香港島のネオンが光り始めていた。俺は閉園前の九龍公園を少し散歩した後、尖沙咀 (チムサーチョイ)の繁華街で飯を食うことにした。

手ごろな広東料理のレストランがあったので入ると店員さんが席に案内してくれた。みやぞんをモヒカンにしたような兄さんである。しかしモヒカンの高さがはんぱない。20センチはありそうである。

なぜ広東料理店にモヒカンなのか。俺はあたりを見回したが、他の店員さんは結構常識的中国系おじちゃんなのである。もしかして名物男的キャラなのであろうか。しかしこのアメリカンな髪型からして、英語は期待できるのではないだろうか。

みやぞん(仮名)は俺を地元客と思ったようだった。何故なら俺がメニューを指差し英語で話しはじめたら、一瞬「ん?」という顔をしたのである。みやぞんもあまり英語は得意ではなさそうだった。しかし、みやぞんは広東語に英語を交えながら一生懸命答えてくれた。

すると奥の方からそのやり取りを見ていた一人のウエイターが、「はいはい、ボクの出番のようですね」という感じでゆっくりとテーブルに近づいてきたのだが、それを感じた男みやぞんは右手をピシャリと下げて「おまえ、こなくていいかんね」というサインを送ったのだった。

多分、地元客と外人客担当のような感じで役割担当が決まっているのだろうが、みやぞんは「ここは俺が頑張る」と思ってくれたのだろう。

みやぞんは根気良く、一生懸命身振り手振りで説明してくれた。おお、こういう人もいるのか。俺は心を打たれた。

俺は彼が話し終わったようなので、注意深く彼の眼を見ながら、海老油炒め的料理と野菜的料理を指差し、最後に青島ビール(チンタオビール=青島啤酒)を頼んだ。この青島ビールという単語が俺とみやぞんの間で初めて通じた言葉だった。

「アンド、チンタオビア!」と俺が最後に言うと
「オーケー、チンタオビア!」とみやぞんが答えたのである。

俺とみやぞんの心が触れ合った瞬間である。そしてみやぞんはホスピタリティあふれる男のようで、俺の選んだ海老料理の写真を指差し少し険しい顔をして何か言いながら首を横に振った後に、別の海老料理を指差して満面の笑みを浮かべて何かを言ったのである。

わかりやすい。これはわかりやすい。いかに鈍い俺でもこれはわかる。どう考えても「こっちの方が美味しい」ということだろう。俺は後者を指差し、「オーケー、オーケー」と言ったのだった。みやぞんの返事も「オーケー、オーケー」である。髪型の違う男達の心に国境を越えたラポール(心の架け橋)がさらに築かれた瞬間である。

そして最後にみやぞんは、メニューの「白飯」という文字を指して俺の目を見て、少し心配そうで悲しそうな表情を浮かべた。

もう、皆まで言うな。俺の頭の中にはみやぞんの「ご飯を頼み忘れてない?」という声が響いていた。俺はその気遣いが嬉しく、それならばと「炒飯」の文字を指差した。みやぞんは「オーケ、オーケ、オーケーーー!」と言いながらメニューを小脇に抱えて奥に消えていった。頼もしい後ろ姿だった。

そして、出てきた料理はと言えば、みんな美味かった!

俺は通りがかったみやぞんに、親指を立てて見せた。みやぞんも、俺に親指を立てて見せた。もはや俺達は、トップガンで見た、戦闘機のパイロットと機体誘導員くらい心が通いあっていた。

俺は出された料理を平らげるとみやぞんに礼を言い店を後にした。みやぞんは笑顔で俺を見送ってくれた。

街はまだまだ賑やかだったが少し涼しくなっていた。人ごみの中を歩きながら「しかし、食ったなあ」と呟いたところで俺はチップを渡し忘れたことにハタと気がついた。

(あー、失敗したなあ...)

俺は、帰る前にもう一度その店に行き次は二回分のチップを渡そうと心に誓いながら、尖沙咀の地下鉄駅に続くエスカレータに乗った。




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ひとこと

2016年の冬は暖かい日が多かったですね。もうすぐ春です!